残置物の意味や「撤去」と「処分」の違い、法律・相場まで短時間で理解できる記事も用意してあります。
一言で表すと、価格を下げないと売れない状況になりやすいのです。
逆に片付いていれば「きれい」「住めそう」と感じ、値引き交渉が起きにくく、高値でも売れやすくなります。
まずは「損害」から確認:知らないと、契約が止まる・やり直し・追加請求になることがあります。
不動産仲介が残置物で失敗したときの「自社の損害」
注意:法律相談ではありません。現場で起きやすい損をわかりやすく整理したものです。
残置物が原因で起こる6つの損害
- 契約の白紙・解除:引渡し日に残置物が残り、買主が受領拒否。契約が止まる/やり直し。
- 違約金・損害金の請求:引渡し遅延、追加清掃、再訪の費用を請求される。
- 仲介手数料の失注・減額:破談・解除で手数料ゼロ/減額。
- 再広告・再内覧のコスト:写真撮り直し、媒体再入稿、現地再手配。
- スケジュール崩壊:引越し・決済・引渡しがズレ、関係者の再調整で人的コスト増。
- 信用失墜・長期クレーム化:口コミ悪化、上長・法務・弁護士対応へ発展。
読んだだけでゾッとします。なぜ起きるのか、原因は次の5つです。
「損害」が発生しやすい5つのパターン
- 残す/捨てるの合意不足:口頭のみ。写真つきリストがない。
- 追加費用の条件不明:当日「想定外」で金額が跳ね上がる。
- 鍵・立会い・撮影のルール不明:個人情報が写り、買主クレーム。
- 撤去期限と予備日なし:雨や混雑で遅延。全工程がズレる。
- 特約があいまい:「残置なし」の定義が契約書に無い。
知らないと全てが「想定外」となってしまいますが、事前に知っていれば防げる損害もたくさんあります。
いますぐできる「損害予防4点セット」
- 写真つき残置リスト(残す/渡す/捨てるを明記)
- 同一仕様の相見積もり(追加費用の発生条件を見積書に記載)
- 撤去期限+予備日(特約に日付と時間帯を明記)
- 鍵・撮影・個人情報の取り扱い(紙で合意/保管先と責任者)
契約直前・直後に効く「短い特約」サンプル
撤去と期限:売主は〇月〇日(予備日〇月〇日)までに残置物を撤去し、残置物なしで引き渡す。
残す物の合意:別紙「残置リスト」(写真つき)記載の物のみ、買主に譲渡する。
遅延時の精算:期限に完了しない場合、買主は撤去費用として金〇円を売買代金から留保できる。
最低限これだけを特約として定めておけば、大きなトラブルにもならないでしょう。
新人でも使える「一言トーク」
- 売主へ:「内覧と引渡しのトラブル防止のため、写真つき残置リストを今日作りましょう。」
- 買主へ:「引渡しは“残置なし”でお渡しします。残す物は写真で共有し、特約に入れます。」
- 業者へ:「同条件で見積もりをお願いします。追加費用が出る条件を見積書に書いてください。」
最低限、これだけは覚えておくと、安心感を与えることもできるでしょう。
チェックリスト(提出物)
- □ 写真つき残置リスト(CSV/紙)
- □ 見積もり(3〜4社、同一仕様、追加条件の明記)
- □ 鍵・撮影・個人情報の取り扱いメモ
- □ 契約特約:撤去期限/予備日/遅延時の精算(留保金)
まとめ:上の4点がそろえば、契約破棄・損害金・手数料失注のリスクは大きく減ります。
「これで売れる!」残置物を片付ける4つのメリット
- 高値で売れる:残置が多いままだと、割安売却になりやすい。
- 写真が映える:ポータルの写真が明るくなり、クリックが増える。
- 内覧しやすい:通路が広がり、長く見てもらえる。
- 値引きされにくい:臭い・ゴミを理由にした値引き要求が減る。
残置物を撤去するメリットは、ズバリ、高く、早く売りやすくなるからです。
撤去費用も売却価格に上乗せされるので、片付け費用も実質かかりません。
残置物の費用は誰が払う?(基本ルール)
原則は売主(または相続人)です。
交渉で「価格に含める」や「買主が残置を引き継ぐ」こともあります。
決めた内容は別紙のリスト(残す物・渡す物・写真つき)でハッキリ書きましょう。
売れる状態に整える4つのステップ

ステップ1:現地で「残置チェック」
通路幅・エレベーター有無・車の停め位置を確認。残す物/捨てる物をその場で決めます。
ステップ2:同じ条件で見積もり(3社程度)
依頼テンプレをそのまま使い、追加費用の条件も書面でそろえます。
ステップ3:契約書に「残置なしで引渡し」を明記
譲る物は写真つきリストで合意。鍵・撮影・個人情報の扱いもメモに残します。
ステップ4:片付け→撮影→掲載を連続で
撤去日の翌日までに撮影。きれいな写真でポータルに出し、反響を最大化します。
よくある質問
- Q. 勝手に処分してもいい?
- A. だめです。所有権の問題があります。必ず本人や相続人の同意を取り、書面を残してください。
- Q. いつ片付ければいい?
- A. ベストは撮影の前。最低でも内覧前に、通路確保・臭い対策・大型撤去を終えましょう。
- Q. 見積もりのコツは?
- A. 条件を同じにします(対象範囲・人員・車両・時間・成果物)。追加費用の出る条件を書いてもらいましょう。
- Q. 立会いは必須?鍵はどうする?
- A. 立会いなしでも可能。鍵の受け渡し方法、写真撮影の範囲、個人情報の扱いを先に決めておくと安心です。
- Q. 原状回復や清掃まで頼める?
- A. はい。撤去と一緒に簡易清掃・軽い補修まで行うと、撮影がすぐできます。
見積もり依頼テンプレ(コピペOK・短縮版)
・対象:屋内○LDK+ベランダ(残置は写真参照) ・作業:分別/搬出/運搬/処分/貴重品捜索 ・成果物:Before/After写真、回収明細、処分控え ・人員・車両:例)3名/2tアルミバン1台/4時間 ・追加費用:量の超過・危険物・特殊清掃等。事前合意なしの請求は不可 ・鍵・撮影:受け渡し方法、撮影範囲、個人情報の扱いを明記