残置物撤去費用はなぜ公表価格と違う?トラブル化した実例と「原価」から読み解く完全ガイド

残置物撤去費用_処分費用_相場 残置物撤去
残置物撤去

なぜ「ネットの値段」と「請求額」が違うの?

答えはシンプル。当日の作業で〈思ったより大変〉になる条件が出ることと、〈地域ごとに処分代が違う〉こと、この2つが主な理由です。

  • 追加の条件:階段で運ぶ/トラックを家の前につけられない/冷蔵庫やガラスなど特別な品がある…など。
  • 地域差:同じ量でも、都市部は処分代や人件費が高め。

例:「積み放題3万円」と書いてあっても、3階階段+横付け不可+冷蔵庫ありだと、人手と時間、処分代が増えて最終的に高くなることがあります。

対策(ここが一番大事)
口約束はNG。見積書を紙(またはPDF)でもらうのが守りの一手です。
入れてもらう内容は「内訳・数量・単価・追加が発生する条件・見積の有効期限」。
これがあると、あとから「聞いてない!」を防げます。

 

公式に確認されたトラブルの実例(事件・行政発表)

「定額2万円」のはずが…桁が一つ増えた!?

 定額パック数十万円請求


依頼者:
「広告で“追加費用なし・2万円”って書いてあったから…」
当日スタッフ:「想定外の量と手間です。積み込み後に清算で」
■作業はそのまま進行。終わって提示されたのは数十万円の請求——。

消費者庁はADW/Triple Rの表示について注意喚起(景品表示法)。資料:消費者庁PDF(2022/6/1)

 


「詰め放題3.98万円」→ 当日見積は約65万円

 3.98万円約65万円


依頼者:
「“軽トラ詰め放題でOK”と言われて呼んだのに…」
現場:「分別・人員増・追加台数が必要です。こちらが最終金額になります」
■広告と現場説明の“条件の溝”。その差は約16倍に。

このパターンは公的機関の注意喚起でも明記。国民生活センター「見守り新鮮情報418」伊勢市公式

 

ピンポン…「無料で片付けます」→ 強引勧誘、業務停止へ

 無料査定 のはずが… 強い勧誘


訪問員:
「今なら無料で引き取れます。価値が下がる前に今日決めましょう」
依頼者:「やっぱり家族にも相談して…」
■断りにくい空気を作る手口。東京都は9か月の業務停止命令を公表。

詳細:東京都 消費生活総合センター(2023/12/21)

 

     

    ② 原価の“地場差”を把握する:東京・神奈川の処分単価

    撤去費のキモ=「人件費+運搬費+処分単価」。処分単価は地域差が大きい。

    下記の記事では、処分費用と撤去費用の違いについても紹介しているので確認しておくといいでしょう↓

    残置物の撤去と処分、廃棄はナニが違う?片付け業者に依頼する時、最低限確認して欲しいたった1つのこと 

    ※下表は公的サイトや処分費用(人件費、運搬費別)の目安レンジです。実契約は品目・含水率・選別・委託方法で増減します。

    地域 区分 品目例 / 内容 目安単価 出典(リンク)
    東京都 産業廃棄物 廃プラ 4,000〜8,000円/m³ RecycleHub:東京
    東京都 産業廃棄物 混合廃棄物 3,000〜12,000円/m³ 同上
    東京都 産業廃棄物 石膏ボード(建設系) 20,000〜30,000円/m³ 同上
    神奈川県 産業廃棄物 廃プラ 4,000〜8,000円/m³ RecycleHub:神奈川
    神奈川県 産業廃棄物 木くず・紙くず 3,000〜8,000円/m³ 同上
    神奈川県 産業廃棄物
    (特管)
    廃石綿等(参考) 15,000〜25,000円/m³ 同上
    横浜市 事業系一般 焼却処理(自己搬入/許可業者搬入分の処分費) 13円/kg(=13,000円/t) 横浜市 公式
    大阪府 産業廃棄物 (相場例)廃プラ・木くず・混合 等 廃プラ 4,000〜8,000円/m³ ほか RecycleHub:大阪
    大阪市 事業系一般 焼却処理(自己搬入) 約9円/kg 相場集(市別一覧)
    京都市 事業系一般 ごみ搬入手数料(改定) 10kgごと150円(=15円/kg)※2025/4/1〜 京都市 PDF
    神戸市 事業系一般 処分手数料(指定袋換算例あり) 10kgごと80円(=8円/kg) 神戸市 ルールブックPDF
    広島市 事業系一般 指定袋以外の自己搬入 10kgごと101円(=10.1円/kg) 広島市 公式
    岡山市 事業系一般 自己搬入 10kgごと180円 岡山市 公式
    高松市 事業系一般 自己搬入(燃やせる・破砕ごみ) 100kgまで1,700円、超過20kgごと340円(≒17円/kg) 高松市:持込案内 / 条例(手数料)
    松山市 事業系一般 許可業者経由の持込 10kgごと190円(2025/4/1改定後) 松山市 公式
    福岡市 事業系一般 (自己搬入)ごみ処理手数料 10kgごと140円(=14円/kg) 福岡市 ルールブックPDF

    ※品目・含水率・選別状況・委託契約(直受入/仲介/建設系扱いなど)で単価は変動します。現地の中間処理場が満杯・値上げ中だと市況単価も上がります。
    ※「事業系一般」は自治体ルール(自己搬入の可否・対象品目・事前申請の有無)により運用が大きく異なります。リンク先の最新案内を必ず確認してください。

    中間処理上での処分費用の詳細は、こちらの記事で詳しく紹介しています↓

    産業廃棄物の中間処理場で2トントラック1台分の処分費用(原価)はいくら?持込(撤去・運搬費なし)で円/㎥・円/トンの料金

     

     

     理解しておきたい流れ:問い合わせ→見積→当日の流れ

    STEP1|問い合わせ時(想定所要10分)

    • 住所・間取り・階数・エレベーター有無・駐車可否
    • 物量の目安(スマホ写真10枚+動画30秒が最強)
    • 特殊品:家電リサイクル対象、危険物、物置解体など

    例)「神奈川県茅ヶ崎市/2DK/3階階段。玄関が狭く大型家具は分解が必要。トラックは敷地内に横付け不可で約30m先」

     

    STEP2|現地見積(30〜45分)

    • 体積計測(m³)と分別難度を評価:可燃/不燃/資源/危険/解体
    • 搬出動線の安全確認:手すり養生、隣室配慮、エレベータ養生
    • 人員と車両の積算:2tアルミバン×1、2tダンプ×1、作業員4名×4時間など

     

    見積書(例)

    項目 数量 単価 金額 備考
    撤去作業費
    (人件費)
    4名×4h 5,000円/h 80,000円 階段3階・養生含む
    車両費 2tバン1台・2tダンプ1台 40,000円 市内移動・燃料込
    処分費 混合6m³ 8,000円/m³ 48,000円 選別込み(目安)
    付帯作業 物置解体 20,000円 鉄骨ボルト切断
    小計 188,000円 税別

    ※処分費の単価は、地域の処分単価レンジ(上表)と合致しているかをチェック。

    見積金額の相場を把握できるように、以下の記事も読んでおきましょう↓

     

    STEP3|作業当日(実作業4〜5hの想定)

    1. 養生→分解→搬出→積載→簡易清掃の順で進行
    2. 途中で追加が出る場合は作業停止→口頭で説明→金額追記→署名の手順を徹底(書面がないまま追加作業を続けない)
    3. 完了後、写真+最終明細を受け取り、差額が出た理由を確認

     

    ④ 公表価格と実費がズレる「5つの典型パターン」

    料金が見積より上がるのは、ほとんどが次の5つ。各項目はなぜ上がるのか(理由)→実例→自分で確認できるチェックの順でまとめています。

    ① 物量の見誤り(実量オーバー)

    理由:トラックの台数や処分量は体積(m³)で決まる。想定より多いと台数が増える。

    実例:段ボール 60×40×30cm=0.072m³
    50箱で 0.072×50=3.6m³。1台分の想定(3m³)を超えて2台必要に。

    チェック:押入れやベッド下も写真を撮る。箱は「縦×横×高さ(m)」で体積をざっくり計算。

    ② 搬出の難しさ(階段・横付け不可・狭所)

    理由:人が運ぶ距離や階段が増えると、人件費=人数×時間×単価が増える。

    実例:3階階段・駐車場まで30m。平屋に比べて移動が多く、同じ量でも作業時間が約1.2〜1.5倍に。

    チェック:階段の有無・段数、エレベーター、玄関幅、トラックを停められる距離をメモ。

    ③ 特殊品(家電リサイクル・畳・石膏ボード・ガラス 等)

    理由:一般ごみとは別のルール・ルートで処分するため、手数料や専用の処分単価がかかる。

    実例:冷蔵庫=リサイクル券+運搬費/石膏ボード=混合廃棄不可で単価が高め

    チェック:型番・サイズ・枚数を伝える。危険物(スプレー缶・薬品)やガラスは分けて申告。

    ④ 付帯工事(物置解体・カーポート撤去・庭木伐採など)

    理由:工具・養生・安全管理が必要で、解体時間+処分品目が増える。

    実例:スチール物置(1.5坪)=2人×1〜2時間+金属・木材の分別。

    チェック:本体の撤去だけか、解体も依頼するのかを事前に決め、見積では別行にしてもらう。

    ⑤ 地域の単価差(都市部は高めになりがち)

    理由:処分施設までの距離・人件費・処分単価が地域で違う。都市部は基礎単価が上がりやすい。

    実例:同じ6m³でも、横浜など都市部は処分費+人件が地方より高いことが多い。

    チェック:相見積は最低2社。地元業者と広域業者の処分単価(m³ / t)と人件の内訳を比べる。

    まとめ:式にすると「総額 ≒ 人数×時間×単価 + 処分単価×体積 + 付帯工事」。
    写真・寸法・動線(階段/距離)・特殊品の4点を先に出せば、見積のブレは小さくできます。

     

     

    ⑤ 今すぐ使える「被害防止チェックリスト」

    口約束はすれ違いのモト。ここでは、なぜ必要か(理由)→どう動くか(やること)→OK/NG例で、実行ポイントをハッキリさせます。

    ① 書面見積は“設計図”

    理由:あとから「聞いてない」が起きない。金額の根拠が見える。

    やること:見積に内訳・数量・単価・加算条件・有効期限を必ず入れてもらう。
    できれば「人件費(人数×時間)」「車両費」「処分単価(m³/t)」「付帯作業」「支払い方法」「キャンセル料」も。

    OK例:「混合廃棄物6m³ × 8,000円/m³=48,000円」「階段3階=人員×時間を+20%」と明記。
    NG例:「一式 15万円」だけ。

    ② 「追加費用なし」「最安保証」の脚注を見る

    理由:小さく書かれた条件で、あとから金額が変わることがある。

    やること:適用条件・除外品・超過料金・適用エリア・時間帯・他割引との併用可否を書面で確認。
    「条件に当てはまらない場合の単価」も書いてもらう。

    OK例:「軽トラ積み放題(3m³まで・家電リサイクル除外・超過は3,000円/0.5m³)」
    NG例:「追加なし!」とだけ書いてある。

    ③ 許可証は“免許証”

    理由:無許可はトラブル・不法投棄のリスク。頼む側も巻き込まれる可能性。

    やること:一般廃棄物/産業廃棄物の収集運搬許可の「番号・自治体名・有効期限」を確認。
    会社の所在地・電話・代表者名もセットで。車両に許可表示があるかもチェック。

    OK例:「産廃収集運搬 許可 第×××号(東京都・有効〜2027/3)」を提示。
    NG例:「大丈夫です」の口頭だけ、番号不明。

    ④ 相見積は“同じルールで”

    理由:条件がバラバラだと、値段の比較ができない。

    やること:最低2社に、同じ文面で依頼。
    統一文面の例:「住所:◯◯、2DK、3階(EVなし)、駐車30m、写真10枚添付/特殊品:冷蔵庫・ガラス天板/物置解体あり/希望日◯月◯日午前」

    OK例:両社とも「搬出距離・階段回数・特殊品」が明記。
    NG例:片方は写真なし、もう片方は詳細あり。

    ⑤ 当日は“ストップ→合意→再開”

    理由:作業中に追加が出ても、合意前に進むと金額トラブルに。

    やること:追加が出たら一旦停止→理由説明→増額見積(紙orタブレット)→両者サイン→再開。
    口頭だけで進めない。

    OK例:「ガラス棚の追加+0.5m³=1,500円」をその場で追記し、署名。
    NG例:「とりあえず載せますね」で作業続行。

    合言葉:書面で残す/条件をそろえる/合意してから進む」。
    この3つを守れば、ほとんどのトラブルは回避できます。

     

    よくある質問 Q&A

    Q. 公表価格と最終請求の差はどれくらい?
    A. 行政の実例では「3.98万円の広告→約65万円請求」のケースが報告。必ず書面見積で合意してから依頼を。国民生活センター伊勢市
    Q. 適正価格の目安は?
    A. 地域の処分単価(円/m³・円/t)と人件・車両を合算して判断。東京・神奈川は混合3,000〜12,000円/m³、廃プラ4,000〜8,000円/m³が目安。東京神奈川
    Q. 安全な業者の見分け方は?
    A. 許可番号の提示、現地確認後の内訳見積、加算条件の明文化、会社情報の開示。東京都は悪質な訪問行為に業務停止命令を出しています。都の処分情報