「家族の賃貸アパートがゴミ屋敷になっている」「退去日だけ決まっていて、とても片付けが間に合いそうにない」──そんなご相談が、ここ数年で一気に増えています。
ドクターエコでも、
- 親が施設に入ることになり、代わりに部屋を片付けて退去したい
- うつや体調不良で片付けられないまま、退去通知だけ来てしまった
- 引っ越しは済んだのに、ゴミだけ残っていて鍵が返せない
といった「ゴミ屋敷と退去」がセットになったご相談を、毎月のようにいただきます。
結論からいうと、賃貸アパートがゴミ屋敷になっていても、退去は十分間に合います。ただし、賠償金・原状回復・大家さん(管理会社)とのやり取りを間違えると、払わなくて良いお金まで請求されてしまうこともあります。
このページでは、ゴミ屋敷の片付け実績3,000件以上のドクターエコが、賃貸の退去にしぼって「ゴミ屋敷をどう片付け、どう退去まで持っていくか」をわかりやすくまとめました。
退去日が迫っていて焦っている方も、この記事を読みながら「いま何から手をつければいいか」を一緒に整理していきましょう。
- 賃貸アパートがゴミ屋敷でも退去はできる?まず全体像を整理する
- ゴミ屋敷のまま退去するとどうなる?賠償金・トラブルのリスク
- 原状回復ガイドラインから見る「どこまで負担すべきか」
- 退去までの流れとタイムライン(やることリスト)|ゴミ屋敷の賃貸を無事に退去するためのステップ
- 自力で片付けるか、業者に頼むかの判断基準
- ゴミ屋敷片付けの費用相場と、退去案件ならではの増減要因
- ゴミ屋敷片付け業者を選ぶときのチェックポイント
- 家族・親の部屋がゴミ屋敷になっている場合の注意点
- ドクターエコに相談した場合の流れ(お問い合わせ〜見積もり〜作業)
- 退去やゴミ屋敷の片付けで役立つ関連ページ
- まとめ|ゴミ屋敷でも、正しい段取りを踏めば退去は十分間に合う
- よくある質問
- この記事の監修者
賃貸アパートがゴミ屋敷でも退去はできる?まず全体像を整理する
ゴミ屋敷になってしまった賃貸でいちばん多いのが、
- 「このままでは退去できないのでは?」
- 「賠償金で何十万も請求されるのでは?」
という不安です。
しかし、国土交通省の「原状回復ガイドライン」では、借主が負担すべき費用は「通常の使用を超える汚損・破損」のみと明記されています。経年劣化や日常生活でつく傷・汚れは、原則としてオーナーの負担です。
ゴミ屋敷の場合でも、
- ゴミをどけたあとの床や壁の傷みが「通常損耗」か「特別損耗」か
- どこまでを借主が負担し、どこからがオーナー負担なのか
を整理しながら進めれば、必要以上の賠償や、言われるままの請求に応じる必要はありません。
そのために大事なのが、
- 退去日(立ち会い日)を確認する
- 現状の写真を残しておく
- 片付けの段取りを決める(自力か業者か)
- 必要に応じて見積もりをとる
- 片付け → 退去立ち会い → 鍵の返却
という流れです。ここから順番に見ていきます。
ゴミ屋敷のまま退去するとどうなる?賠償金・トラブルのリスク
まず、「ゴミをそのまま残して退去」は基本的にできません。退去立ち会いのときには必ず室内を確認されるため、ゴミ屋敷のまま鍵を返すと、
- 「この状態では受け取れません。片付けてからもう一度立ち会いです」
- 「片付けと原状回復をこちらで手配します。その費用はすべて請求します」
という流れになりがちです。
特にリスクが大きいのは、
- ゴミが長期間積もったことで、床や壁が腐ってしまっている
- 害虫・悪臭がひどく、近隣から苦情が出ている
- 水漏れやシミが、階下の部屋にも影響している
といったケースです。これらは「ゴミが原因の特別損耗」と判断されやすく、原状回復費用が高額になりやすいポイントでもあります。
逆にいうと、退去前にゴミを撤去し、通常損耗と特別損耗を分けて話ができる状態にすることで、不要な請求やトラブルをかなり防ぐことができます。
原状回復ガイドラインから見る「どこまで負担すべきか」
賃貸の退去でポイントになるのが、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。ここでは細かい条文までは触れませんが、ゴミ屋敷で問題になりやすい部分だけ押さえておきましょう。
「通常損耗」と「特別損耗」の違い
- 通常損耗:家具を置いた跡、日焼け、経年劣化など「普通に生活していればいずれ出てくる」汚れや傷
- 特別損耗:飲み物をこぼしたまま放置してできたシミ、ペットの粗相、タバコのヤニ、ゴミの山による腐食など
ゴミ屋敷では、
- 床がべたついて剥がれている
- 畳やクッションフロアが腐っている
- カビや悪臭が強く残っている
といった「ゴミが原因のダメージ」が特別損耗にあたる可能性が高いです。
ただし、クロスの全面張り替えや床材の総取り替えなど、オーナー側の都合で行う「グレードアップ工事」まで、すべてを借主が負担する必要はありません。どこまでが妥当かを話し合うためにも、まずはゴミを撤去して「本当の傷み」が見える状態にすることが重要です。
退去までの流れとタイムライン(やることリスト)|ゴミ屋敷の賃貸を無事に退去するためのステップ
ゴミ屋敷の賃貸を無事に退去するためのステップ

ステップ1:退去日と片付けのめどを決める
最初に決めたいのは「いつまでに部屋を空にするか」です。退去日と立ち会い日が決まっていればそこから逆算できますが、 管理会社や大家さんにいきなり相談するのが不安な場合は、先に片付け業者へ相談して「片付けに必要な日数の目安」を知っておく方法もあります。
Aパターン:先に管理会社・大家さんに相談する
すでに退去日や立ち会い日が決まっている場合や、トラブルを避けたい場合は、 まず管理会社・大家さんに「片付けをして退去する予定」であることを伝え、 日程をはっきりさせるのがおすすめです。
それでも、ゴミ屋敷になってしまっている現状を管理会社や大家さんには知られたくないというお客様は多くいます。そんな場合におすすめなのがBパターンです。
Bパターン:先に片付け業者に見積もりをとる
「現状を知られるのが怖い」「どれくらいの期間で片付くのか全く見当がつかない」という場合は、 先に片付け業者へ写真や状況を伝えて、概算見積もりと作業日数の目安を聞いておく方法があります。
退去日までにキレイに片付いていれば、管理会社・大家さんとも落ち着いて話しやすくなりますし、 仮に原状回復工事が必要になる場合でも、室内が空になっていれば工事の範囲や概算が出しやすいため、 大きなトラブルにつながりにくくなります。
ステップ2:現状をスマホで撮影しておく
ステップ1のどちらのパターンを選ぶ場合でも、まずは部屋の現状を スマホで写真や動画に残しておくことが重要です。 見積もり・家族への共有・退去立ち会いのトラブル防止など、あらゆる場面で役に立ちます。 とくにゴミの高さや通路の有無、水回りの状態は必ず記録しておきましょう。
- 玄関・廊下・キッチン・浴室・トイレ
- 各部屋を入口→奥の順で撮影する
- 天井方向も撮影(ゴミの高さが分かるため)
ステップ3:家族・管理会社へ状況を共有する
片付けのめどが立ったら、必要な相手へ状況を共有します。とくに退去日が近い場合は早めの連絡が安心です。
- 「片付け業者に依頼して退去までに空にする予定です」と伝える
- 鍵の受け渡し方法(対面/ポスト/キーボックス)を確認する
- 本人が動けない場合は家族・代理人が前に立つ形で調整する
ステップ4:片付け業者の見積もりをとる
退去案件は日程がシビアなため、早めの見積もりで「必要な日数と作業量」を把握することが重要です。 写真だけで概算はできますが、退去日が迫っている場合は現地見積もりがおすすめです。
- 当日〜翌日に見積もり可能かを確認する
- 退去日までに間に合う人員・トラック台数の確保ができるか
- 必要に応じて、ハウスクリーニングや配送も含めて見積もる
ステップ5:片付け当日の流れ
作業当日は、玄関から奥に向かって動線を確保しながら、仕分け・搬出・簡易清掃の順に進みます。 退去案件では、書類や鍵など「絶対に捨ててはいけない物」を先に分けることが大切です。
- 重要書類・貴重品を最初に仕分けする
- ゴミと不要品を一気に搬出して部屋を空にする
- 床・壁が見える状態まで戻す(退去立ち会い用の状態)
- 作業後の室内を撮影し、原状回復の説明に備える
ステップ6:退去立ち会い〜鍵の返却
部屋が空になったら退去立ち会いです。ゴミ撤去後は、床や壁の傷みが把握しやすく、 原状回復の負担もガイドラインに沿って正しく判断しやすくなります。
- 立ち会い時に確認されるポイントを把握しておく
- 原状回復は「通常損耗」「特別損耗」を分けて説明する
- 問題がなければその場で鍵を返却し、退去完了
自力で片付けるか、業者に頼むかの判断基準
ゴミ屋敷でも、「自分たちで少しずつ片付けて退去まで間に合わせたい」というご相談も多くあります。自力と業者、それぞれの向き・不向きを整理しておきましょう。
自力で片付けるのに向いているケース
- 退去日まで1〜2ヶ月以上の余裕がある
- 部屋の一部だけがゴミ屋敷化しており、通路は確保できている
- 家族や友人と協力しながら片付ける体制がある
- ケガや持病など、大きな健康上の不安がない
業者に頼んだ方が安全・確実なケース
- 退去日まで2週間を切っている
- 玄関から室内に入れない/腰より高く積み上がっている
- カビ・悪臭・害虫がひどく、マスクや手袋だけでは不安
- 一人暮らしで、手伝ってくれる人がいない
- 体調不良やメンタル面の不調で、片付けに手を付けられない
無理に自力で始めてしまうと、途中で力尽きてしまい、「時間だけ過ぎて、結局退去前日に慌てて業者を探す」というケースも少なくありません。いまのゴミの量と退去日を冷静に見て、早めに判断するのがおすすめです。
ゴミ屋敷片付けの費用相場と、退去案件ならではの増減要因
ゴミ屋敷の片付け費用は、
- 間取り(1R〜2LDKなど)
- ゴミの量(床が見えるのか、天井近くまで埋まっているのか)
- エレベーターの有無・階数
- トラックが建物の近くまで寄せられるか
といった条件で大きく変わります。
ドクターエコの実績ベースでは、賃貸のゴミ屋敷片付けはおおむね次のような目安です。
| 間取り | 片付け費用の目安 |
|---|---|
| 1R・1K | 8万〜15万円前後 |
| 1DK〜1LDK | 12万〜22万円前後 |
| 2DK〜2LDK | 20万〜40万円前後 |
退去案件では、
- 「いつまでに空にしないといけないか」(日程のタイトさ)
- 引っ越し作業や配送サービスを同時に行うか
- ハウスクリーニングまでセットにするか
といった条件でも費用が変わります。
実際の金額感をもっと詳しく知りたい方は、 賃貸アパートのゴミ屋敷退去を扱った 「家族・親が住んでる賃貸アパートがゴミ屋敷…退去時の片付け費用相場を11件から見積もり」 で、間取り別の費用と作業時間を確認してみてください。
ゴミ屋敷片付け業者を選ぶときのチェックポイント
退去が絡むゴミ屋敷ほど、業者選びの重要度は一気に上がります。片付けの質だけでなく、
- 見積もりの透明性
- 不法投棄リスクの有無
- 退去日・立ち会いに合わせた段取り力
も大切です。
最低限チェックしたいポイント
- 廃棄物処理の許可を持っているか(産廃・一般廃棄物など地域のルールに沿っているか)
- 見積もりに「人件費・車両費・処分費」が分かる形で出ているか
- 追加料金が発生する条件が事前に説明されているか
- 支払いは作業完了後か(高額な前金を求められないか)
- 不用品の買取や配送など、退去と相性のいいサービスを持っているか
特に、極端に安い見積もりや、トラック積み放題だけをうたう業者には注意が必要です。不法投棄や不適切な処分が行われた場合、依頼した側も問われるリスクがあります。
悪徳業者を避けて、安心して任せられる片付け業者の選び方については、こちらで詳しく解説しています。
家族・親の部屋がゴミ屋敷になっている場合の注意点
退去とゴミ屋敷がセットになるのは、ご本人だけでなく「親や家族の部屋」であることも多いです。
代理での依頼・支払いがしやすいか
高齢の親御さんや、体調不良のご本人に代わって、お子さんやご親族が依頼されるケースでは、
- 見積もりや契約を、代理の方とオンラインや電話で進められるか
- 支払いを代理人名義で行えるか
- キーボックスやポストなどを使って、立ち会いなしで対応できるか
といった点が重要になります。
行政や福祉と連携が必要なケースも
ゴミ屋敷の背景に、認知症・孤立・多頭飼育などの事情がある場合、
- 地域包括支援センター
- 民生委員
- 市区町村の福祉担当
と連携しながら片付けを進めた方が良いケースもあります。いきなりすべてを片付けるのではなく、今後の住まいや生活のことも含めて、「どういうゴールに向かって片付けるのか」を整理しておくと安心です。
ドクターエコに相談した場合の流れ(お問い合わせ〜見積もり〜作業)
最後に、実際にドクターエコへご相談いただいた場合の流れを簡単にご紹介します。
1.お問い合わせ・ご相談
電話・メール・LINEから、
- お住まいのエリア
- 間取り(1R・1K・2DKなど)
- 退去日・立ち会い予定日
- ゴミの量のおおまかなイメージ(腰まで・天井まで…など)
をお聞きします。スマホで撮った写真を送っていただけると、費用の目安が出しやすくなります。
2.現地見積もり(無料)
退去案件の場合、できるだけ現地でお部屋の状態を確認したうえで見積もりを出します。訪問時には、
- どこまで片付けるか(ゴミだけ/家具も含めて全撤去)
- 残しておきたい物・探してほしい物
- 退去日までのスケジュール
を確認しながら、「この内容なら〇月〇日の作業で間に合います」といった具体的な段取りを一緒に組んでいきます。
3.作業当日(仕分け〜搬出〜簡易清掃)
作業当日は、ドクターエコのスタッフが複数名で伺い、玄関から奥へ向かって動線を作りながら片付けを進めます。
- 貴重品・思い出の品・書類などは一つひとつ確認
- 危険物やリスクのあるゴミは専用の手袋・マスク・道具で対応
- 搬出後は、ほうきがけや簡易清掃で「退去立ち会いができる状態」に整える
4.作業完了・退去立ち会い
作業完了後、室内の状態をお客様と一緒に確認し、問題がなければそのまま退去立ち会いの準備に入っていただけます。立ち会い日が近い場合は、立ち会いで見られやすいポイントや、大家さん・管理会社へ伝えておくと良いこともお話ししています。
まとめ|ゴミ屋敷でも、正しい段取りを踏めば退去は十分間に合う
賃貸アパートがゴミ屋敷になってしまうと、「もう終わりだ」「何十万円も請求される」と感じてしまいがちです。しかし実際には、
- 原状回復ガイドラインにもとづいた賠償の範囲を知る
- 退去日から逆算して、片付けの段取りを組む
- 必要に応じて、信頼できる片付け業者に頼る
ことで、無理のない形で退去までたどり着くことができます。
「家族の部屋がゴミ屋敷で、自分一人ではどうにもできない」「退去日まで時間がない」という場合は、抱え込む前に一度ご相談ください。状況をお聞きしながら、いま取れる最善の選択肢を一緒に整理していきます。
退去日が迫っている方・家族の部屋の片付けでお困りの方は、お電話・LINE・メールからお気軽にご相談ください。
よくある質問
- 賃貸アパートがゴミ屋敷でも、本当に退去はできますか?
- はい、可能です。ゴミを撤去して原状を確認すれば、通常どおり退去立ち会いに進めます。賠償の範囲もガイドラインに沿って整理できます。
- ゴミ屋敷のまま退去すると、どれくらい賠償金を請求されますか?
- 状況によります。ゴミが原因で床や壁が傷んでいると高額になる場合があります。不要な請求を避けるには退去前の片付けが重要です。
- 退去日まで数日しかなくても片付けは間に合いますか?
- 間に合うケースが多いです。現地確認の当日〜翌日に作業に入り、2tトラック数台で短時間で仕上げることも可能です。
- 親や家族の部屋がゴミ屋敷になっている場合、子どもが代理で依頼できますか?
- はい、できます。鍵の受け渡しや管理会社との連絡も含め、代理の方と進めるケースが多数あります。
- ゴミ屋敷の片付け業者はどう選べば良いですか?
- 許可と実績を確認してください。極端に安い業者や不法投棄リスクのある業者は避けるのが安全です。







