2020年版の記事ではニュージーランドがワースト1位、デンマークが2位、アメリカが3位という結果でした。
あれから5年──コロナ禍やインフレ、ウクライナ戦争による資材高騰など、消費と物流を取り巻く環境は激変しました。
最新の Global Waste Index 2025(Sensoneo社)や EU統計局(Eurostat)、各国環境省の公表値を突き合わせ、2025年時点の一人当たりゴミ排出量ランキングをまとめました。
結果を見てみると、以外にもSDGsや環境国と言われている国がワーストにランクインしていることに驚きます。
日本の順位は?(311kg/人・年)
環境省が3月に公表した 2023 年度の一般廃棄物実態調査によると、日本人1人当たりのゴミ排出量は 851g/日(年間約311kg) でした【環境省プレスリリース】。前年より約3%減少しており、OECD38か国の中では最少クラスです。
排出量 311kg/人・年 env.go.jp
この数字は、コロナ禍で急増したテイクアウト容器の使用が沈静化したことや、自治体ごとの有料化・分別強化策が奏功した結果と考えられます。
ワースト10(一人あたりのゴミ排出量が多い国)
10位 マルタ(618kg/人・年)
小さな国土に多数の観光客が訪れ、一時的な廃棄物量が上乗せされる。土地不足でリサイクル施設の拡大が困難で、分別率向上やリユース促進など多面的な対策が求められる。
参照元: EEA Malta Waste Factsheet 2025
9位 イスラエル(650kg/人・年)
80%近くを埋立処分に依存し、容器リサイクルのためのデポジット返却制度が未整備。焼却施設新設には住民反対運動も多く、廃棄物管理の近代化が遅れている。
参照元: Sensoneo Global Waste Index 2025
8位 キプロス(673kg/人・年)
観光シーズンに訪れる数百万人規模の観光客が一時的にゴミを集中させる。島国ゆえの輸送制約でリサイクルプラントが限られ、多くを埋立てに頼る旧態依然の処理体制が続く。
参照元: Europe-Data EU Waste Ranking 2025
7位 カナダ(684kg/人・年)
広大な国土を背景に安価な埋立地が多いため、廃棄物の67%を埋立てに依存。寒冷地での生ゴミ管理もコスト高となり、リサイクル・焼却インフラへの投資が後手に回っている。
参照元: Sensoneo Global Waste Index 2025
6位 ベルギー(690kg/人・年)
都市部への人口集中と自治体ごとに異なる分別ルールが回収効率を低下させ、容器包装ゴミが多い。地域間で統一された政策が不足しており、プラスチックゴミ抑制策の法整備が急務となっている。
参照元: Europe-Data EU Waste Ranking 2025
5位 ルクセンブルク(712kg/人・年)
人口密度は低いが高所得と国境をまたぐ越境購買で包装材の流入が多い。埋立率は低く焼却処理が主流だが、人口規模に対して過剰な廃棄量が集中し、削減が進まない状況が続いている。
参照元: Europe-Data EU Waste Ranking 2025
4位 オーストリア(803kg/人・年)
家具や家電など耐久消費財の交換サイクルが短く、廃棄量が増加。分別回収とバイオマス発電による熱回収率は高いが、廃棄物の総量自体が減らず、リサイクル率42%を維持しながらも排出量の抑制には至っていない。
参照元: Eurostat Municipal Waste Statistics 2025
3位 ニュージーランド(845kg/人・年)
観光業の回復により訪日客や国内旅行が増加し、その分包装ゴミも急増。島国特有の輸送コストと分散型インフラがネックとなり、リサイクル施設の整備が追いつかず埋立処分が中心のままで排出量が高止まりしている。
参照元: ReportLinker Global Municipal Waste Dataset 2024
2位 デンマーク(866kg/人・年)
高い生活水準に裏打ちされた大量消費が原因のひとつ。さらに、廃棄物の一部をバイオマス発電用に焼却する政策が排出量を押し上げ、リサイクル率は高いものの総排出量はEU平均の約1.6倍に達している。
参照元: ReportLinker Global Municipal Waste Dataset 2024
1位 アメリカ(951kg/人・年)
米国内で急速に定着したオンラインショッピングやフードデリバリーサービスが大量の包装廃棄物を生み、また食品ロス削減策の不十分さが常態化。安価な埋立コストに依存した廃棄構造がリサイクル意欲を削ぎ、5年間で約208kgも増加した。
参照元: Sensoneo Global Waste Index 2025
番外編
ちなみに、SDGsを推進しているドイツは600kgくらい/人、フランスも530kgくらい/人と多く、ランキングには入らないものの日本に比べておよそ2倍に近い量です。
環境のことになると「欧米では…」という言葉が出てきますが、そもそも日本よりもゴミを出す量が多いのです。
ランキングの読み解きポイント
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アメリカは、この5年でひとりあたりのゴミがとてもたくさん増えました(208kgも!)。ネットでお買い物をする人が増えて、箱や袋のゴミが多くなり、食べ物もたくさん捨ててしまうのが理由です。
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デンマークとオーストリアは、ゴミを燃やして電気やあたたかい空気を作る仕組みがあります。でも、ゴミの量はヨーロッパのほかの国より1.6倍くらい多いです。
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イスラエルとカナダは、ほとんどのゴミをそのまま土に埋めています。こうすると、地球を温めるガスが出やすいので、環境にとってよくない問題になっています。
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日本・韓国・エストニアは、ひとりが出すゴミの量がとても少なくて、きちんと分けたり燃やしたりしてリサイクルも上手にできています。この3つの国は「ゴミの少ない優等生」です。
2020→2025 とゴミの量を比較してみると…
国 | 2020年(kg) | 2025年(kg) | 増減 |
---|---|---|---|
アメリカ | 743 | 951 | +208 |
デンマーク | 771 | 866 | +95 |
ニュージーランド | 781 | 845 | +64 |
日本 | 336 | 311 | -25 |
旧データは当社 2020 年記事より。新データは上掲各ソース。
全体的に 高所得国のゴミ排出量は増加 しており、コロナ後のオンライン消費やデリバリーが定着したことが透けて見えます。
それでも日本のゴミの排出量は減っているのですから、日本はゴミの排出においては、かなり優秀であることがわかります。
簡単にできる家庭でできる「ゴミ削減5カ条」
- 買い物前に 在庫チェック し、二重購入を防ぐ。
- 量り売り やリフィル店を活用し、包装資材を減らす。
- 生ゴミは コンポスト(家庭用 or 地方自治体の回収)へ。
- 使い捨て→リユース品(シリコンバッグ、ステンレスストロー等)へ置き換え。
- 地域の 資源ゴミ回収日をアプリでリマインド し、分別ミスを根絶。
それから、ドクターエコでは定期的な大片付けも推奨しています。
まとめると…
2025 年現在、1人当たりゴミ排出量が最も多い国はアメリカ(951kg/年)。
日本は 311kg/年 で OECD 内トップクラスの“少ゴミ国家”。
とはいえ1日 約0.85kg を捨てている計算。さらなる削減余地は大きいのも事実です。
とはいえ、日本人よりも多く排出している欧米文化権に、日本のゴミ削減の方法を伝授したほうが、世界的に見ればゴミの排出量を減らすのは効率的です。
日本は実際のところ、環境先進国でもありますので、国策として日本の環境対策を諸外国に提供していくことも期待されています。