売れ残った恵方巻が山積みになった写真がSNSに流れ、
「もったいない」「作りすぎだ」といった声が繰り返されてきました。ところが2026年は、少し様子が違います。
X(旧Twitter)を見ても、過去のような「大量廃棄」の投稿が目立ちにくく、
逆に、遅い時間にスーパーやコンビニへ行ったら恵方巻が買えなかった(売り切れだった)という声が続出しています。ただし、これは「廃棄がゼロになった」という話ではありません。
実際、コンビニを中心に、売れ残りは今年もちらほら確認されています。
2026年は、大量に余って炎上する規模ではなく、
廃棄が存在しても可視化されにくい形へ変わりつつある――その“移行期”として捉える方が自然でしょう。
2026年、恵方巻の大量廃棄とフードロスはどう変わったのか
2026年のポイントは、「減った/増えた」を断定することではなく、
廃棄が“目立つ形”から“目立たない形”へ移行していることを押さえることです。
その背景には、インフレによる高単価化、現場の人手不足、廃棄処理コスト、そしてSNSによる可視化リスクがあります。
インフレが恵方巻を「気軽に買えない商品」に変えた
恵方巻の価格帯はどこまで上がったのか
2026年の恵方巻を考えるうえで、まず無視できないのが価格の変化です。
一般的な太巻きサイズで800〜1,000円超。
海鮮系や高付加価値商品では1,200円前後。
ハーフサイズでも400〜600円という水準になっています。
値上げは一時的ではなく構造的な問題
背景には、米・海苔・水産物の原価上昇、人件費・物流費の高騰、当日集中製造によるコスト増といった要因が重なっています。
その結果、価格を下げる選択肢はほぼ消え、作る側も売る側も慎重にならざるを得ない商品へと変わりました。
価格上昇が消費行動に与えた影響
価格帯が上がると、買い方も変わります。
「家族で分ける」「予約しかしない」「そもそも買わない」といった動きが増えることで、
当日販売の需要予測は難しくなり、作りすぎのリスクはより重くなります。
インフレは、恵方巻を「売れるかどうか」の問題から、
「最初から作るべきかどうか」を問う商品に変えてしまったと言えます。
大量販売モデルと抑制型モデルの分岐
大手の大量販売では今も廃棄は発生している
全国一律の販促スケジュールと、当日需要を見越した大量製造を前提とするモデルでは、2026年も一定量の売れ残りが出ていると考えられます。
ただし、その規模はかつてのように「写真を撮って拡散したくなる量」ではなく、目立たない形で積み重なっている可能性が高い。大量廃棄は消えたのではなく、見えにくくなったと捉える方が自然です。
過剰生産しない企業では廃棄が話題にならない理由
一方で、予約中心・数量限定・種類を絞った販売を行う企業では、廃棄そのものが話題になりません。
予約販売が中心、当日販売は最小限、ハーフ・ミニサイズの活用などにより、
売り場に「余る光景」が生まれにくく、結果としてSNSにも現れにくい設計になっています。
この構造は、恵方巻に限った話ではありません。 年末に話題になるクリスマスケーキの廃棄問題も、 実は同じ利益構造の上に成り立っています。
「当日しか売れない」「売れ残れば即廃棄」 という条件のもとで、 どこまで作るかを判断する仕組み自体が 問われている点は共通しています。
クリスマスケーキの廃棄と食品ロスについては、 以下の記事で、より踏み込んで整理しています。
【2025】クリスマスケーキの処分・廃棄と食品ロスの対策―問題が利益構造にある現状
両者の違いは倫理ではなく設計思想
重要なのは、この差が「倫理の問題」ではなく、設計思想の違いである点です。
これは残置物撤去の現場でも同じで、事前の見積もりや量の把握をせずに進めると、
当日になって処理量が膨らみ、人手・車両・処分費のすべてが想定外になります。
「なぜ事前説明が重要なのか」は、以下で具体的に解説しています。
https://dr-eco.jp/zantibutsu/good-company-points/
夕方の売り場で見えた2026年の変化
「山積み」が消えた売り場
2026年の象徴的な変化が、節分当日の夕方以降の売り場です。
かつて見られた「午後に一気に積み上がる恵方巻の山」は、今年はほとんど見られませんでした。
数量を抑えた陳列、平置き・分散配置、空いたスペースを無理に埋めない売り場など、
「売れている」よりも、最初から多く並べていない印象を受けます。
値引きのタイミングが示す企業判断
値引きは行われるものの、時間は遅く、幅も控えめです。
一気に半額ではなく、段階的な値引きが多く、高単価商品の値崩れ回避や品質イメージの維持といった意図が透けて見えます。
その結果として「売り切る」より、「炎上しない規模に抑える」設計が前提になっているようにも見えます。
この判断の背景には、売れ残った後に発生する廃棄処理の手間とコストがあります。
実際の廃棄物処理は、法律・分別・回収ルートが関係するため、単純な「捨てる作業」ではありません。
廃棄はあるが可視化されにくくなった
2026年も夕方以降に恵方巻が残っている売り場はあります。
ただし、数本〜十数本程度など「拡散したくなる量」ではないケースが多く、
結果としてSNSに流れにくくなっています。
廃棄が消えたというより、可視化されにくい形へ変わった側面があります。
SNSで「大量廃棄」が話題にならなかった理由
2026年の節分を振り返って特徴的なのは、X(旧Twitter)上で「恵方巻の大量廃棄」がほとんど話題にならなかったことです。
これは、廃棄問題が解決したからではありません。
実際、コンビニを中心に、恵方巻の売れ残りは今年も確認されています。
ただし、その量は「写真を撮って拡散したくなる規模」ではなく、
各店舗で数本から十数本程度に収まっているケースが多いようです。
- 大量に余る売り場が作られにくくなった
- 余っていても炎上する規模ではなくなった
- 毎年同じ構図に、SNS側の反応が鈍くなった
こうした要因が重なり、「問題が起きていないように見える」状態が生まれています。
特にコンビニでは、当日販売をやめない以上、需要予測のズレによる売れ残りは避けられません。
2026年はそれを前提に、「大量には出さない」「目立たせない」設計へと明確にシフトした年だったと考えられます。
結果として、かつてのような炎上や告発は起きず、
廃棄は存在するが、話題にならないという、これまでとは異なる段階に入っています。
遅い時間に恵方巻が買えなかった人が続出した理由
2026年の節分で、もう一つ目立った現象があります。
それは、夕方以降にスーパーやコンビニへ行ったものの、
恵方巻がすでに売り切れていて買えなかったという声が少なくなかったことです。
これは一見すると「需要が強かった」「人気だった」ようにも見えますが、
実際には供給側が最初から量を絞っていた結果と考える方が自然でしょう。
売り切れは「成功」ではなく「設計の結果」
2026年は、多くの店舗で次のような判断が取られていました。
- 当日販売の数量を最小限に抑える
- 予約分を優先し、追加製造は行わない
- 夕方以降の需要増を過度に見込まない
その結果、ピークタイムを過ぎると売り場から恵方巻が姿を消す店舗が増えました。
「余っている」よりも「無い」状態を選んだ店舗が多かった、という見方もできます。
なぜ「無い方がよい」と判断されたのか
背景にあるのは、これまで見てきた通りです。
- 1本800円〜1,000円超という高単価
- 売れ残れば即廃棄になる商品特性
- 廃棄処理にかかるコストと人手
- SNSで可視化されるリスク
これらを総合すると、「少し売り逃す」ことよりも「売れ残る」ことの方がリスクが高い。
2026年は、そう判断する店舗が明らかに増えた年でした。
買えなかった体験が示しているもの
遅い時間に恵方巻が買えなかったという体験は、消費者側にとっては不便に感じられるかもしれません。
しかしそれは同時に、作りすぎを前提としない売り方が浸透し始めた証拠とも言えます。
2026年は、「余って捨てられるくらいなら、最初から少なくていい」という判断が現場レベルで共有され始めた年でした。
廃棄は減ったのか?2026年の結論
廃棄量は把握しにくいが兆候は一致している
恵方巻の廃棄量について、業界全体の正確な数値がまとまって公表されることは多くありません。
そのため断定はできませんが、売り場の陳列やSNSの空気を複数の観測点として並べると、
「作りすぎない方向へ寄っている」兆候は一致しています。
廃棄がなくなったとは言えない理由
2026年の恵方巻廃棄はゼロではありません。
特にコンビニでは、当日販売を続ける以上、少量の売れ残りは構造的に発生しています。
2026年は「大量廃棄が消えた年」ではなく、
「大量廃棄が目立たなくなった年」と表現する方が近いでしょう。
問題の焦点は「量」から「設計」へ
2026年に起きた本質的な変化は、議論の焦点が「どれだけ捨てられたか」から、
「なぜその数を作ったのか」「当日販売が本当に必要なのか」という
設計思想そのものへ移り始めた点です。
インフレ・人手不足・SNS可視化という条件が重なった結果として、
作りすぎが“割に合わない”構造が強まりました。
廃棄の現場では何が起きているのか|恵方巻はどう処理される
売れ残った恵方巻は、翌日まで保管されることも、別の商品として再販売されることもありません。
節分当日の営業終了後、あるいは翌朝の早い時間帯に、
事業系の食品廃棄物として回収・処理されます。
ここから先は、普段あまり語られない「現場側の話」です。
店舗側で行われる最初の作業
閉店後、あるいは深夜帯に、売れ残った恵方巻はバックヤードで次のように扱われます。
- 包装を開封し、中身を確認する
- 他の商品と混ざらないよう分別する
- 専用の廃棄容器にまとめる
この作業は、忙しい通常業務の合間、もしくは人手の少ない時間帯に行われます。
節分は来店数が増え、予約対応・売り場整理・レジ応援などが重なる日です。
その日の最後に「売れなかった分を処理する作業」が追加されます。
廃棄は「無料」ではない
食品廃棄には必ずコストがかかります。
回収費用、分別・保管にかかる人件費、廃棄量に応じた処理費など、
量が少なくてもゼロ円ではありません。
恵方巻のように米・海苔・魚介類を含む食品は、処理負荷が軽い部類ではないため、
2026年は処理コストも含めて「作りすぎない方が合理的」という判断が増えています。
廃棄物としての行き先
回収された恵方巻は、地域や事業者によって異なりますが、焼却処理や一部の資源化工程に回されます。
いずれの場合も、食品としての役割はここで完全に終わります。
現場では感情とは別に、安全性・衛生・法令順守が最優先です。
こうした処理は、廃棄物処理法に基づき適切な区分と手続きを踏む必要があります。
残置物や事業系ごみを処分する際の法的な考え方は、以下で詳しく解説しています。
https://dr-eco.jp/zantibutsu/zantibutsu-law/
なぜ「最初から作らない判断」が重くなったのか
2026年の変化は、SNS対策だけでは説明できません。
廃棄処理費用の上昇、人手不足による作業負担、短時間に集中する後処理などが重なることで、
「売れた分だけ利益」ではなく「売れ残った分だけ負担が増える」構造がより明確になりました。
その結果として、当日販売数量を減らす、予約中心に切り替える、種類を絞るといった判断が
現場レベルで合理的になっています。
この話をなぜ書くのか
恵方巻の大量廃棄とフードロスは、「売れ残った量」だけを見ても本質は分かりません。
誰が処理しているのか、どんな負担が発生しているのか、なぜ作りすぎが避けられないのか。
現場の事情を知ることで、2026年の変化が感情論ではなく構造の問題であることが見えてきます。
まとめ:2026年は終わりではなく分岐点だった
見えてきた2つの方向性
2026年の恵方巻の大量廃棄とフードロスは、「減った」「減らなかった」という二択では捉えきれません。
大量廃棄が社会問題として毎年炎上する段階は過ぎた一方で、廃棄そのものが完全に解消されたわけでもない。
今年は問題の終結ではなく、分岐の可視化が進んだ年です。
当日販売と利便性を重視し、一定の廃棄リスクを受け入れるモデルと、
予約中心・数量抑制によって廃棄を起こしにくくするモデル。
どちらも合理性があり、簡単に善悪で分けられるものではありません。
ただしインフレ・人手不足・SNS可視化という環境下で、前者のコストとリスクは確実に増えています。
消費者の立場が静かに変わった
2026年は、消費者の関わり方も変わりました。
叩くために見る、写真を拡散して正義を示す、という関わり方から、
買わない、予約しかしない、最初から距離を取る、という静かな意思表示が増えた年です。
これは無関心ではなく、同じ構造が続くことを理解したうえでの現実的な選択と考えられます。
2027年以降に問われる当日販売の意味
2027年以降、より問われていくのは「なぜ当日販売を続けるのか」という点でしょう。
本当にその量が必要なのか、予約販売だけでは成り立たないのか、
廃棄コストとリスクをどう位置づけるのか。
これらは企業だけでなく、消費者側の期待や行動とも深く結びついています。
2027年以降、どのモデルが主流になるのか。
それは誰かの正義ではなく、積み重ねられる選択の結果として決まっていくはずです。
これは不用品回収や残置物撤去でも同じです。
「安いから」ではなく、「説明があり、適正に処理されるか」を基準に選ばれるかどうか。
ドクターエコでは、処分量・作業時間・処理方法を事前に説明したうえで見積もりを行っています。
- 2026年の恵方巻は、本当に大量廃棄が減ったのですか?
- 大量に余って炎上する規模は目立ちにくくなりましたが、廃棄がゼロになったわけではありません。
2026年は、インフレによる高単価化、予約販売の定着、当日販売数量の抑制が重なり、作りすぎない方向へ移行しつつあります。
一方で、コンビニを中心に少量の売れ残りは構造的に発生しています。 - なぜ恵方巻は毎年フードロスの象徴として話題になるのですか?
- 恵方巻は節分当日しか売れない商品で、賞味期限が非常に短いという特性があります。
そのため需要予測を外すと売れ残りが発生しやすく、当日販売を前提に大量生産するモデルでは廃棄リスクを避けにくい構造があります。 - Xで大量廃棄が話題にならなかったのは、解決したからですか?
- 解決したとは言い切れません。
2026年は「大量に余る売り場が作られにくくなった」「余っても炎上する規模ではなくなった」「SNS側の反応が鈍くなった」などの要因が重なり、
廃棄は存在しても話題になりにくい段階に入ったと考えられます。 - 遅い時間に恵方巻が買えなかった人が多いのはなぜですか?
- 需要が強かったというより、供給側が最初から当日販売数量を絞っていた可能性が高いです。
高単価化、即廃棄になる商品特性、廃棄処理コスト、人手不足などを踏まえ、
「少し売り逃す」より「売れ残る」リスクを避ける設計へシフトした結果と考えられます。 - 売れ残った恵方巻は、その後どう処理されるのですか?
- 売れ残った恵方巻は、原則として食品として再販売されることはなく、事業系の食品廃棄物として回収・処理されます。
具体的な処理方法は地域や事業者によって異なりますが、焼却や一部資源化工程に回され、いずれにせよ食品としての役割は終わります。 - 2027年以降、恵方巻の大量廃棄とフードロスはどう変わっていきますか?
- 当日大量販売を前提とするモデルと、予約中心・数量抑制モデルの二極化がさらに進む可能性があります。
インフレや人手不足、SNSによる可視化が続く限り、「作りすぎること」のコストは高まりやすく、
店舗側の販売設計と消費者の買い方の積み重ねが今後の形を決めていくでしょう。







