産業廃棄物業者が中間処理場に支払う「原価」を把握すれば、実際にかかる処分費用のイメージがぐっと明確になります。
わかりやすいように円/㎥・円/トン・円/台(2トントラック)で算出しました。
どのくらいの費用が原価でかかっているのか、相場をみてみましょう。
(円/1㎥)中間処理場での持込処分費用の概算
処分 項目 |
中央値 (円/m³) |
八栄興業 | 株式会社 ウチダ |
クリーン 産業 |
クリーン ライフ |
グローブ 産業 |
---|---|---|---|---|---|---|
木くず | 7,500 | 9,900 | 5,000〜 | 7,000〜 | 7,500〜 | 7,000〜 |
鉄くず | 2,700 | 4,400 | 1,000〜 | 1,000〜 | 0 | — |
紙くず | 5,500 | 17,600 | 7,000〜 | 3,000〜 | 3,000〜 | — |
廃プラ | 12,000 | 14,300 | 9,000〜 | 10,000〜 | 12,000〜 | 14,000〜 |
混合 | 13,000 | 19,800〜 | 12,000 | 13,000〜 30,000 |
14,000〜 | 9,000〜 10,000 |
コンクリ (がれき類) |
13,600 | 13,200 | 6,000〜 | 15,000〜 | 14,000〜 | — |
※廃プラは圧縮されて1立米のブロックにされた状態の数値
※状態によって金額が変わります。
インターネットで1㎥あたりの処分料金を公開している中間処理場5ヶ所から中央値を割り出してみました。
金額に幅があるのは、リサイクルできる廃材であるか、汚れていてリサイクルできない廃材かが影響している場合がほとんどです。
1,000〜円/㎥となっていても汚れているため10,000円/㎥〜となるケースもあるので、このことを念頭に中央値も見ると、必ずしも「この価格で処分できる」、とは言えません。
また家の中にあるゴミで多いのは、廃プラ、木くず、鉄くず、紙くずが多く、家の中の残置物の平均的な処分費用(原価)は、これら4種類のゴミの中央値を平均すると6,925円/㎥となります。
(円/1トン)中間処理場での持込処分費用の概要
処分 項目 |
中央値 (円/トン) |
八栄興業 | 株式会社 ウチダ |
クリーン 産業 |
クリーン ライフ |
グローブ 産業 |
---|---|---|---|---|---|---|
木くず | 13,636 | 18,000 | 16,364〜 | 12,727〜 | 13,636〜 | 12,727〜 |
鉄くず | 3,894 | 3,894 | 8,850〜 | 885〜 | 0 | ー |
紙くず | 17,334 | 58,667 | 26,667〜 | 9,000〜 | 9,000〜 | ー |
廃プラ | 34,286 | 40,857 | 25,714〜 | 28,571〜 | 34,286〜 | 40,000〜 |
混合 | 50,000 | 76,154〜 | 46,154〜 | 50,000〜 | 53,846〜 | 36,538〜 |
コンクリ (がれき類) |
14,000 | 13,200 | 6,000〜 | 15,000〜 | 14,000〜 | ー |
※こちらの比較表は当社が、尼崎市が公表している産業廃棄物の比重換算表を使用して算出しています。記載している会社の数値とは異なる可能性がありますので、あくまで参考程度にしてください。
廃プラ、木くず、鉄くず、紙くずの4種類を円/トン換算した場合の平均は17,287.5円/トンです。
ちなみに紙くず(雑誌や書籍、新聞紙など)は比重が重く、思っている以上にトラックに詰めない(満杯にできない)のが現状です。
紙くず1トンあたりの体積は3.5㎥であり2トントラックだと7㎥が限度です。
2トンアルミバントラックロングの最大積載量は15㎥程度(2.9トン)を使っても約10㎥が限度になり、過重によりトラック満杯で運ぶことができません。
比べて、圧縮されていない状態の廃プラは密度が低いので、1トンあたりの体積は10㎥となり2トントラック満杯で運送できる計算になります。
ゴミの種類別:トラック1台あたりの処分費用の目安(原価)
ゴミの種類 | 比重 (t/㎥) |
2t車積載量 の目安 |
処分費単価 (円/トン) |
処分費合計 (円) |
---|---|---|---|---|
廃プラスチック | 0.10 | 約1.5t (15㎥) |
34,286 | 約51,429 |
紙くず | 0.30 | 約2.9t (9.7㎥) |
17,334 | 約50,269 |
木くず | 0.55 | 約2.9t (5.3㎥) |
13,636 | 約39,544 |
混合廃棄物 | 0.26 | 約2.9t (11.2㎥) |
50,000 | 約145,000 |
コンクリート (がれき類) |
1.00 | 約2.9t (2.9㎥) |
14,000 | 約40,600 |
※積載量は目安であり、廃棄物の密度や形状、積み方により変動します。
※処分費用は中間処理場での持込価格(原価ベース)です。運搬費や作業費は含まれていません。
上記は、1台の2トントラック(アルミバンロング)で各ゴミを積載した場合のおおよその処分費(中間処理場への持込時原価)を比重・処分単価から計算した一覧表です。
2トントラック(アルミバンロング)の積載容量は15㎥程度なので、廃プラスチック以外のゴミは重さの関係で満杯まで詰めないことがわかります。
中間処理場の処分費用に大きな違いがある理由は?
汚れていると処分費用が一気に跳ね上がる傾向。
例えば、株式会社ウチダでのコンクリ処分費用は6,000〜円/㎥と表示自体は他社の半額でできるように見えます。
しかし、コンクリと一言でいっても、鉄筋などの不純物が混ざっていたり、処分方法が粉砕だけではなく、磁選・水洗・分別ラインも必要な場合は高くなったりもします。
コンクリだけはなく、木くずなども同様に不純物である釘などが混ざっていると高くなる傾向にあります。
中間処理場も運営方式がそれぞれ違う。
中間処理場で鉄くずの処分費用が0円、もしくは買取だったり、処分費用に10,000円/㎥かかったりと大きくばらつきがあることがわかります。
これは、中間処理場においても運営方式や利益構造が違うことにあるからです。
鉄くずの処分に強いところは安くなり、逆に受け入れ体制が整っていないと処分費用が高くなるのは、簡単に想像ができます。
中には受け入れじたいをやっていなかったり、受け入れていても公表しておらず、実際に問い合わせをして見積りをとらないとわからない処分場が多くあるのも事実です。
中間処理場を選ぶ時に最低限確認したい4つのこと
処分場の資格・許可を持っている。
大丈夫だとは思いつつも。確認しておいて損がないのが中間処理場の資格や許可です。
中間処理場を運営するには都道府県知事の許可である「中間処理業許可」と「中間処理施設設置許可」が必要になります。
これらの許可を取るには、膨大な書類や設備投資を含めると数億円がかかります。
万が一、許可をもっていない業者に依頼してしまうと不法投棄などに関与することになり5年以下の懲役、1000万以下の罰金に処されてしまう可能性もあるので注意が必要です。
マニュフェスト(産業廃棄物管理票)を発行している。
「中間処理業許可」と「中間処理施設設置許可」を持っていれば、当然マニュフェスト(産業廃棄物管理票)の発行もしています。
しかし、「マニュフェストを発行できない」となると脱法的な処理をしている可能性もあるので、そういった中間処理場は避けるのが懸命です。(ないことを願いますが…)
処分できる項目の確認。
こまかくいうと、依頼された業者から『「機密書類」を溶解処分してほしい。』など処分方法を指定されての依頼もあります。
各所処理場で受け入れている処分方法も確認する必要があるかもしれません。
処分料金の見積り。
上記でも紹介しましたが、中間処理場によって料金はさまざまです。確認しておかないと、想定していた3倍の費用が発生することも考えられます。処分費用の見積りをあらかじめ取っておくかないと、予算オーバーで処分できないなんてことにもなりかねません。
処分費用が安くても、運送・撤去費用が高い場合も
ここでは中間処理場での処分費用について紹介しました。理由は、だいたいの相場を知っていただければ、どのくらいの費用が原価としてかかっているのか理解していただけると思ったからです。
ただし、紙くずのように処分費用が安くても、運搬費用が2倍かかるゴミもあったりするのも確かです。
リサイクル、再資源化できる状態であれば安く処分できるものの、汚れていたり他のゴミが混ざっていることで処分費用が2倍以上になることもあります。
またゴミ屋敷化してしまっている場合は、現場での仕分け作業に時間がかかるため人件費や作業費が高くなることも考えられます。
注意点とお願い。
中間処理場の利用はあくまで産業廃棄物運搬業者と契約が必要です。上記で紹介した会社への不本意なお問い合わせは、ご遠慮願います。
こちらの情報は産業廃棄物の処分にかかる費用を知っていただくことで、最低限これだけの費用がかかることを知っていただくために公開しています。
処分だけではなく、撤去、運搬も合わせてどのくらいの費用がかかるか知りたい場合は、ドクターエコの無料相談をご利用ください。
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