一晩で何十万人が集まる渋谷ハロウィン。
かつては翌朝、通りが紙コップとカップ酒の山で埋まり、行政が“後始末”に追われました。
しかしここ数年、渋谷区は方針を転換し、「来るな・飲むな・溜まるな」を強く打ち出しています。
区長は「渋谷はハロウィーンの会場ではありません」「ハロウィーン目的で渋谷駅周辺に来ないでください」と来街自粛を呼びかけ、センター街などでの路上飲酒も期間限定で禁止しました。これは、雑踏事故や治安悪化、そして大量のゴミ散乱を未然に防ぐ狙いがあります。
この記事では、実際に投入された公費(区の予算)、規制の背景、そして私たち一人ひとりにできることを整理します。
まず、はじめに重要などんな規制がいつから始まるか?について3つに絞ってお伝えしておきます。
渋谷区ハロウィンの規制内容と禁止の4つのポイント
渋谷区がハロウィン期間中に打ち出している「規制」「禁止」の方針は、単なるマナー呼びかけではありません。
安全と秩序、そして街の景観を守るための具体的な対策が4つの柱で進められています。
① 路上飲酒の禁止

渋谷区では、令和6年10月1日より午後6時から翌朝5時の間、路上や公園など公共の場所における飲酒を通年で禁止されることとなっています。
詳しくはこちらの渋谷区の公式ページと以下の路上飲酒禁止エリアを確認ください。

また外国人観光客に対しては、英語での注意喚起も目立つようになりました。
区は「渋谷はハロウィーンのイベント会場ではありません」「ハロウィーン目的で渋谷に来ないでください」と、はっきりと来街自粛を要請しています。
これは雑踏事故リスクと治安悪化を避けるためでもあります。
夜間には区職員や警察が巡回し、飲酒している人への注意や指導を行っています。これは、飲酒トラブルやポイ捨て、治安の悪化を防ぐためのものです。
▶ 渋谷区長メッセージ「ハロウィーン期間の渋谷駅周辺への来街自粛のお願い」
② 来街自粛(事実上の「来るな」要請)
2023年以降、渋谷区長は毎年「渋谷はハロウィーンの会場ではありません」「ハロウィーン目的で渋谷駅周辺に来ないでください」と明確に呼びかけています。
この来街自粛は、雑踏事故のリスクや深夜の混乱、無許可イベントの発生を防ぐための安全対策であり、観光客・若者双方へのメッセージです。
③ 治安・安全確保のための警備強化

警視庁渋谷署・渋谷区・民間警備会社が連携し、ハロウィン期間中は数百人規模の警備体制を敷いています。
ハロウィンにあったては10月31日(金曜)夕方から11月1日(土曜)早朝までの間交通規制・警備員配置・警察官の巡回を通じて、混雑緩和やトラブル防止を図っています。
▶ 渋谷警察署によるハロウィン時の交通規制案内
④ 路上での“たまり場化”や無許可パーティー、器具機材の禁止

渋谷区と警察は、路上に大勢が固まって音楽を流す・DJ機材を持ち込む・車両やスピーカーを中心に人だかりになる、といった無許可の路上イベント化を強く止めようとしています。
この「溜まる・騒ぐ・回遊し続ける」動きは、一気に人が密集して転倒・押しつぶし事故につながるリスクがあり、さらに周辺にゴミ(カップ・缶・食べ残し・衣装の破片など)を大量に残します。
これに合わせて電動キックボードでおなじみのLUUPもサービスの利用が一時的に停止されることを発表しています。
渋谷区(21カ所):2025年10月30日(木)17:00〜11月1日(土)5:00頃(予定)
福岡市(10カ所):2025年10月31日(金)17:00〜11月1日(土)10:00頃(予定)
このように4つの規制がそれぞれの期間で始まるので、あらかじめ知って準備をしておきましょう。
こんなに規制が始まると、せっかくのハロウィンで街が賑やかになるはずなのに、少し閉鎖すぎるんじゃないのか?寂しい、やり過ぎだ。といった声も聞こえてきます。
しかし、こういう規制や禁止がされるのには、こんな理由があるからなんです。
渋谷ハロウィンの「ごみ問題」が社会問題化した理由
2010年代後半から2019年にかけて、ハロウィン期間中の渋谷は深夜まで仮装客があふれ、飲食ゴミ・壊れた衣装・空き缶・ペットボトル・吸い殻が歩道を覆っていました。
もちろんそれだけではなく、治安も悪化しハロウィンの間、街が正常な状態で機能しなくなっていました。
渋谷区は毎年、職員や清掃業者を動員して翌朝の大規模清掃を実施。警備や啓発活動にも公費が使われています。
たとえば2019年度は、ハロウィン対策費として約1億300万円(警備・清掃・啓発など)を計上しました。2023年でも、規模を縮小しながら約4,800万円が区の予算から投入されています。
これは「一夜のイベント」のために、税金・人手・エネルギーが毎年動いてきたという現実を示しています。
本来であればハロウィンは楽しいイベントのはずですが、渋谷では「誰が片付けるのか」「なぜ区の予算で清掃するのか」という不満や不安も、同時に生まれてしまいました。
おはスミでございます☀️
渋谷ハロウィンが近くなり、渋谷駅周辺は啓発ポスターが大小様々に貼られており、街中のボランティアもこの期間はかなり増えています。
皆が渋谷のハロウィーンを平和に終わらせるために頑張っている。
私もその力の一部となるようにゴミ拾いしていきます!! pic.twitter.com/WuxrhRn1uE
— スミレンジャーZ(愛称スミレちゃん、元スラウザーです) (@iijNWqUQ7i41630) October 27, 2025
行政・企業・市民の“連携モデル”としての渋谷

- 行政:条例・警備・啓発を通じて全体をコントロールし、路上飲酒の禁止や来街自粛を明確に打ち出す。
- 企業:店舗や飲料メーカーなどが清掃協力やリサイクル回収に参加し、路上ゴミを街に残さない取り組みを進めている。
- 市民:ボランティア団体(greenbird、学生チーム、地元住民)による深夜〜早朝の回収活動が行われている。
また、渋谷警察署は10月31日(金)夕方から11月1日(土)早朝まで交通規制・警備体制を敷く予定と案内しており、深夜帯の雑踏事故やトラブルを未然に抑える動きも強化されています。
単なる“イベント”ではなく、街全体で安全・美観・ブランドを守る「共同責任」の期間として、ハロウィンが扱われるようになってきました。
それでも残る課題:「見えないコスト」
全国のゴミ拾いボランティアは感謝されるべきだと思うが、必要不可欠になるべきではない。
寧ろ必要ないのが理想だ。私が活動する渋谷の場合、ゴミは自分達で拾える限界を遥かに超え、限界以上のゴミは無念だが素通りするしかない。
『ボランティアがいてくれて安心』とはならないでほしい。 pic.twitter.com/f036fhGgwJ
— スミレンジャーZ(愛称スミレちゃん、元スラウザーです) (@iijNWqUQ7i41630) August 18, 2025
一見きれいに見える翌朝にも、実は多くの「見えないコスト」がかかっています。
深夜の清掃にかかる人件費、ゴミ袋や燃料、焼却に使われる電力――それらもすべて資源です。
渋谷区では毎年、延べ2,000人以上のボランティアが清掃に参加しています。
誰かが拾っている限り、ゴミは「存在しないこと」にはならない。
だからこそ、「最初から出さない」ことが、実は一番効率的で、持続できる方法なのです。
ボランティアがずっと支え続けなければ維持できない街では、いつか限界が来ます。
私たちができること:出さない準備を、あなたの街のハロウィンにも
渋谷で起きたこの変化は、遠い話ではありません。
“ゴミを出さないハロウィン”は、誰でも今日から始められる身近な工夫でつくれます。
たとえば――
- 使い捨てをやめて、何度も使えるものを。
紙皿やプラカップの代わりに、マイカップ・リユース食器を持参すれば、片付けが一瞬で終わります。 - 飾りや衣装は“買う”より“借りる”。
レンタルやシェアサービスを使えば、収納も廃棄も不要。来年はまた新しいテーマを楽しめます。 - 分別用バッグを一枚、事前に持っていく。
そのひと手間が、翌朝の清掃コストを大きく減らします。
こうした行動は、派手なイベントを減らすためではありません。
「楽しんだ分、きれいにして帰る」という文化を自分たちでつくること。
それが、街のエネルギーや区の予算のムダを減らし、未来の渋谷を軽くします。
ハロウィン翌日にゴミのない街は、誰か一人が頑張った街ではなく、みんなが気づいて変わった街です。
その“先を行く実例”が、今の渋谷です。
困った時は、片付けのプロに相談を
イベント後の片付け・装飾撤去・原状回復が必要な場合は、ドクターエコにご相談ください。
環境に配慮したリユース・リサイクル処理を行い、できる限り廃棄物を減らす方法で対応します。
まとめ:ハロウィンは“出す”イベントから“残さない”文化へ
渋谷のハロウィンが変わったのは、区だけではなく、そこに集まる人たちの意識が変わったからです。
「片付ける前提」で楽しむ時代は終わり、出さない準備が新しいマナーになりました。
街が変わるのを待つのではなく、私たち一人ひとりの行動が街を変えていきます。
関連リンク
🎃 ゴミを出さないハロウィンの準備方法
🧹 ハロウィン翌日の捨てない片付け術
👗 コスプレ衣装を安全に処分する方法
- Q. 渋谷ハロウィンではどのくらいの公費が使われているの?
- A. 2019年度は約1億300万円(渋谷経済新聞)、2023年度も約4,800万円(日刊スポーツ)が、警備・清掃・啓発などの対策に区の予算として投入されています。
- Q. なぜ渋谷は「来ないでください」と言うの?
- A. ごみ散乱や治安悪化、雑踏事故のリスクを抑えるためです。渋谷区はハロウィーン期間中の路上飲酒を禁止し、「渋谷はハロウィーンの会場ではありません」と来街自粛を呼びかけています。
- Q. 個人ができるハロウィンのエコ対策は?
- A. 使い捨ての食器や衣装をやめて、リユース・レンタルを使うこと。さらに分別用の袋を持っていくだけで、翌朝の清掃負担と処理コストを大きく減らせます。







